卵胞ホルモン(エストロゲン)を補充する事で子宮内膜を受精卵が着床しやすい状態へと整えます。内服薬、膣錠、貼付剤、塗布剤、注射剤と、様々な種類があります。排卵誘発剤の記事でも書きましたが、エストロゲンは卵胞発育の効果もありますので、こちらの目的で使用される場合もあります。また、薬によっては更年期障害や閉経後骨粗しょう症、性腺機能低下症など、不妊以外の目的で用いられる場合もあります。それぞれの特徴を踏まえて紹介させて頂きます。
・プレマリン/内服薬
結合型エストロゲン製剤と呼ばれている薬剤です。ファイザー社が1940年代に開発した薬で、日本でも古くから使用されています。妊娠した雌馬の尿から採取した結合型エストロゲン(CEE)が用いられています。結合型エストロゲンとはエストロン、エクイリン、エクイレニンては歴史がある、価格が安いことが挙げられます。内服薬な為、肝臓で代謝されるので、その際に中性脂肪を増加させたり血液の凝固系を過剰にさせますので、長期間使用した場合には血栓症のリスクを高める欠点があります。
・ジュリナ/内服薬
天然型エストラジオール錠と呼ばれている薬剤です。天然型というのはヒトが作るホルモンと同一もしくは非常に似ている化学構造を持っているという事で、エストラジオールとはエストロゲンの一種の事です。その為、他と比べると生理活性が高いとされています。こちらも内服薬な為、肝臓での代謝を受けるのですが、前記のプレマリンと比べると中性脂肪の増加や血栓症のリスクが低いとされています。プレマリンと比べると価格が高いです。
・エストラーナ/貼り薬
天然型エストラジオール貼付剤と呼ばれているテープ状の薬剤です。経皮吸収な為、肝臓で代謝されないので内服薬特有の中性脂肪の増加や血栓症のリスクは低いです。使用方法は簡便で、貼る事で何日か継続して効果を得ることができます。しかしアルコールを含むため、アルコールに弱い方は赤くなる場合がある。皮膚の弱い方は痒くなったり、跡になったりする場合があります。価格は安く設定されています。
・ディビゲル、ル・エストロジェル/塗布薬
天然型エストラジオール塗布薬と呼ばれているジェル状の薬剤です。エストラーナと同じく経皮吸収です。あちらと比べると毎日塗る必要がありますが、アルコール含有量が少ないので、アルコールに弱い方や皮膚が弱い方に選ばれます。また、テープ状では出来ない投与量を調整することが可能です。